経営管理ビザ Q&A
Q: 会社を新規に設立しない場合でも、経営管理ビザが認められる場合はありますか?
A: 既存の会社の経営者になる場合でも認められます。
在留資格「経営・管理」の取得によって認められる活動は、新たに日本でビジネスを開始
する場合だけでなく、すでにある会社に経営者として追加的に参画する場合や、M&Aに
より従来の経営者に代わって経営者となる場合などにも認められます。
Q: 資本金はいくら用意すればよいですか?
A: 500万円をひとつの目安として、事業内容に応じて判断しましょう。
日本の会社法上は、資本金は1円以上あればよいこととなっています。しかし資本金は設
立当初の会社の運営資金となるお金ですので、この金額が小さいと先行きの経営に不安を
もたれてしまうことにつながりますし、実際には日本人であっても1円で設立する方はほ
とんどいません。
特に、経営管理ビザの審査においては、「事業の継続性」がひとつのポイントとなります
ので、これだけの資本金で果たして事業継続が可能なのか?という疑問を、入管の審査官
に抱かせない程度の資本金は必要です。
Q: 資本金は借入金でも良いですか?
A: 可能な限り避け、自己資金を用意しましょう。
借入金の場合、「見せ金」との境が曖昧になり余計な弁明を強いられるおそれもあります
ので、可能な限りは自己資金を用意しましょう。借入金の場合には、経営管理ビザ申請時
に提出する事業計画書において、返済計画を含める必要があります。
Q: 経営管理ビザを取得せずに、商用の短期滞在ビザで来日してはだめですか?
A: 日本の会社から報酬をもらうのであれば、短期滞在ビザでの来日は違法です。
確かに商用の短期滞在ビザというものが存在しますが、日本法人の経営者に就任し、報酬
をもらう場合には、たとえ会議や連絡業務で来日する場合であっても、経営管理ビザで入
国しなければ違法となります。この点、インターネット上の情報では、日本法人の役員に
就任し報酬を受けるにもかかわらず、会議目的であれば短期商用のビザで来日可能である
かのような記述がみうけられますが誤りですのでお気をつけ下さい。
Q: 事務所は、バーチャルオフィスではダメですか?
A: バーチャルオフィスでは認められません。
会社法上は何等制限のない事務所の要件ですが、経営管理ビザの取得のためには、その事
業所が「一区画を占めて」いる必要があり、したがって、バーチャルオフィスは認められ
ません。
Q: ひとつの会社を立ち上げて、数人分の経営管理ビザを取得できますか?
A: ケースバイケースですが、申請の難易度が上がりますので要注意です。
ひとつの会社を設立した場合には、何人の役員が経営管理ビザの対象となるかどうかは、
その会社のビジネスの規模にもよりますので一概には言えません。単に人数の観点だけ
から不許可になることはないものとされていますが、申請の難易度があがることは確か
ですので、ご相談下さい。この場合に考慮されることは、①事業の規模や業務量、②業
務分担、③各人が相当の報酬を受けること、などです。
Q: 経営管理ビザの対象となる業種には、制限はありますか?
A: ありません。ただし、許認可にはお気をつけください。
日本において違法とされている業務以外は、経営管理ビザの対象として認められます。
ただし、その業務を行うためには別途の許認可を必要とする業種がありますので注意が
必要です。
Q: 経営管理ビザの取得者は、現業業務を行うことはできませんか?
A: 可能とされていますが、現業業務が「主たる活動」となってはいけません。
例えば、飲食店を経営する会社の取締役のひとりが、会社の経営を行うだけでなく、店
のフロアに出て、接客業務を行うことは可能とされています。しかしながら、あくまで
も会社経営管理行為がその方の主たる活動である必要があり、接客行為が主たる活動で
あってはならず、主従が逆転している場合には違法です。
Q: NPO法人の理事長、理事も、経営管理ビザの対象となりますか?
A: はい、なります。営利目的のビジネスでなくてもOKです。
経営管理ビザの対象となる「経営・管理」事業は、営利を目的としないものでも、つまり
NPO法人でも認められます。ただし、ビジネスの規模の要件(常勤雇用者の人数など)
は適用除外となりませんので、ご留意下さい(入管に確認済み)。
Q: 自宅を事務所として、経営管理ビザの申請をすることはできますか?
A: 不可能ではありませんが、申請の難易度が上がります。
自宅を事務所とする場合には、①住居目的以外の使用を貸主が認めていること、②法人が
転借人となる場合には、貸主と借主の同意があること、③当該法人が事業を行う設備等を
備えた事業目的占有の部屋を有していること、④当該物件にかかわる公共料金等の共用費
用の支払いに関する取決めが明確になっていること、⑤看板類似の社会的標識を掲げてい
ること、などがチェックされます。
このうち、①②④は書面で立証が可能ですが、とりわけ③⑤は現地調査の対象となります。
入管当局には、実態調査の権限がありますので、始めの許可申請の際あるいは更新申請の
際に、抜き打ちで③⑤が調査される可能性は十分にあり、実際にこの要件を満たしていな
い事が明らかとなって更新が不許可になった事例が入管から公表されています。
アルファサポート行政書士事務所では、余計なリスクを抱え込まないために、可能な限り
自宅を事務所とすることは避けましょう、とアドバイスしています。
Q: 住居を借りず、ホテル住まいにしたいのですが?
A: 現行制度では認められません。
アルファサポート行政書士事務所では、かなり多くのお客様からこのようなご要望をいた
だきますが、現時点では認められていません。経営管理ビザ4ヶ月または1年が認められ
るとその方は法律上の「中長期在留者」となりますが、中長期在留者は市区町村役場にお
いて、住民登録の必要があるからと説明されています。
この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザほか多数。